クリエイティブライティングとは?
日本ではあまり馴染みがありませんが、クリエイティブライティングとは、その名の通り、オリジナリティに富んだ表現を生み出すための文章作成のスキルや、創造的な文章のことを指します。
小説や詩、脚本、エッセイなど、さまざまなジャンルに活かされており、情感を伝えたり、物語を創造したりすることで、読む人の想像力を喚起することを目的としています。
単に情報を伝えるのではなく、いかに読者に深い印象を与えるか、感情に訴えることができるかを重視ているので、創造的で独自の視点が求められます。
つまり、感情や共感を呼び起こすのがクリエイティブライティングであり、論文などの文章作法とは異なるジャンルとなります。
クリエイティブライティングの歴史
子どもの教育から少しだけ横道にそれますが、より理解を深めるためにクリエイティブライティングの歴史にも触れたいと思います。
クリエイティブライティング、つまり創造的な文章を書くことは、、人間の基本的な欲求から生まれたと言えます。人に何かを伝えたいという気持ちと、優れた物語に心を奪われる人間生来の性質から神話、伝説、叙事詩などは誕生しました。これらはすべて“クリエイティブ・ライティング”の祖とも言えます。
20世紀に入ると、創作のプロセスを教育することの重要性に注目が集まり、クリエイティブライティングはアカデミアで正式な分野として認識されるようになりました。その結果、多くの教育機関が小説、詩、戯曲、クリエイティブ・ノンフィクションなどの創作を教える専門のコースやプログラムを設けるようになったのです。
中でも1936年にアイオワ州立大学で開設された「アイオワ・ライターズ・ワークショップ」は、アメリカ初のクリエイティブ・ライティングのプログラムであり、今でもこの分野で最も影響力のあるプログラムの一つとして知られています。
現代においては、クリエイティブライティングは芸術の一形態として、また情報を伝える手段として、教育のさまざまなレベル・分野で教えられています。
また、表現の自由性、創造性の追求、個人の感情や経験を共有する手段として、文化に欠かせない要素となっています。
欧米の小学校でクリエイティブライティングが重視される理由
もともとは大学生や修士・博士課程の学生に向けて構築されたクリエイティブ・ライティング教育ですが、現在欧米では小学校教育においても非常に重視されています。子どもたちの想像力、表現力、および言語能力を伸ばす効果が期待できるとされているためで、具体的には以下のような力を育むことを目的とされています。
1. 表現力の向上
クリエイティブライティングを通じて、子供たちは自分の考えや感情を言葉にする力を鍛えられます。これによってコミュニケーションスキルが向上し、様々な場面での意見の表明や説得力のある伝達が可能になります。
2. 批判的思考力の育成
物語創作や詩を書く作業は、子供たちに物事を多角的に見る力を養います。彼らは登場人物の視点を考えたり、異なる筋書きを考えることで、問題解決や批判的思考に必要なスキルを発展させます。
3. 創造性とイノベーション
クリエイティブライティングは、あらゆる可能性を考える自由な発想を伸ばすことに役立ちます。これにより、創造性を豊かにし、将来的にイノベーションを生み出す原動力となり得ます。
4. 自己理解と自己表現
子供たちは創作活動を通じて、自分自身について深く考察する時間を持つことができます。これは自己理解を深めるとともに、自己表現の手段を磨くことに繋がります。
5. 読解力の向上
クリエイティブライティングは読解力の向上にも寄与します。自分で作品を書くことは、文学的な構造や言葉のニュアンスを理解するのに役立ちます。
6. 社会的・感情的発達
物語を通じて自身の経験を共有したり、さまざまな文化や背景をもつキャラクターについて書くことは、社会的意識や共感力の発達に寄与します。
と考えられています。
実際には何をするの?サンプル問題を年齢別に紹介
6歳から12歳までの子どもたちに向けた年齢別のクリエイティブライティングの活動と、それぞれに合ったテーマ例を紹介します。
6歳 (1年生)
基本的な文章を書き始めます。簡単な文章を組み合わせて、自分が見たこと、感じたことを書く練習をします。
テーマ「おとぎ話の国に旅行したら何が見える?」
7歳 (2年生)
少し文脈を理解してきた頃なので、シンプルな物語を作ることができます。
テーマ「宇宙に住む宇宙人の一日について書いてみよう」
8歳 (3年生)
この歳になると、物語に登場人物や環境を詳細に描写することが増えてきます。
テーマ「森の中で見つけた不思議な扉があったらどうなる?その扉の向こうには何がある?」
9歳 (4年生)
子どもたちは論理的思考を使って、原因と結果を含む物語を書くことができます。
「友だちになったドラゴンが町の問題をどう解決するか書いてみよう」
10歳 (5年生)
読み手を引き込む工夫をした物語や、さまざまな文体を試してみることができます。
「ある日、学校に行く途中で魔法の力を手に入れたら…」
11歳 (6年生)
より複雑なプロットや人物像を作成することに挑戦します。
「異世界で開かれる大会に選ばれた主人公の冒険を書いてみよう」
12歳 (中学生)
洗練されたテーマや深い文字の探究に取り組みます。実際の出来事や歴史、異文化への言及を含めることもできます。
「未来の世界を発見した探検家の日記をつけてみよう。どんな技術があり、どういう社会なのか」
これらのテーマを設定することで、子供たちは想像力を使って、さまざまな視点からストーリーを作り上げることができるようになります。
クリエイティブライティングのいいところ、日本の子供たちにもトライしてもらいたい最大の理由は、楽しみながら書くことができるようにデザインされている点です。
楽しみながら書くことで、子供たちにとって「書く」という行為が身近になっていきます。結果的に、書くことは楽しく、自分の想像力やアイデアを自信をもって表現できるようになるという教育的な戦略というわけです。
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